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教育・研究
教育
学部学生に対しては、理学部生物学科の、臨海実習1(形態学)、臨海実習2(発生学)、臨海実習3(生理学)および教育学部の生物学野外実習を担当し、生物学科4年次生の課題研究(卒論)を分担している。また、全国公開臨海・臨湖実習に毎年参加している。
大学院では、自然科学研究科分子・生命科学専攻の1分野を担当し、修士および博士課程の院生の研究指導を行っている。
現在の研究のテーマ
瀬戸内海は世界的に最も有名な内海で、極めて大きい干満が特徴です。また牛窓海域では、日本最多種の淡水魚を誇る岡山三大河川の流入が、小豆島により滞留します。従って、海で誕生した生命が淡水や陸上へ進出したとされる汽水干潟の多様な生体制御機構を有す生物相に恵まれています。この豊かなリソースを背景に、技術職員2名、教員5名以上、学生が常駐し、行動神経内分泌など生体制御学を中心とした分野でユニークな新知見を見出しています。さらに、メダカ、ラットなど脊椎動物全般のモデル生物も駆使し、分子-細胞-組織-個体-生態系を統合させ究明を行い、普遍的核心に迫っています。先端バイオイメージング支援プラットフォーム、アジア初SDGsユネスコチェア副チェアとしても、ハワイ大との大学間協定や、水産・医・工学との学際研究等、グローバルな連携を推進しています。
文部科学省認定「研究直結型」教育関係共同利用拠点
海洋生物の研究は、生物多様性や環境問題など、近年特に重視されています。全国には約60の臨海臨湖実験所、水産実験所がありますが、大学間連携の魁である本実験所は、高度なノウハウの蓄積などを高く評価され、平成23年度より初の共同利用拠点として認定されました。至便な環境のもと、テレメトリー、行動実験、多光子レーザ走査顕、ゲノム編集等、フィールド~個体~細胞/分子レベルの連関解析のための最先端設備を整えています。西日本の関連施設の拠点、かつ高度な実験生物学の全国的なメッカとして期待されています。年間約5,000人の利用があります。 |
環境適応/ストレス応答の制御メカニズム
河川と海洋を回遊するウナギ、さらに陸上でも生存できるトビハゼや沿岸性の無脊椎動物は、環境に巧みに適応し、恒常性を維持しています。これらの魚介類などを用い、体液調節や痒み感覚の機構の進化を研究しています。比較ゲノムによる新しいホルモンの同定及び、メダカを用いた遺伝子ノックアウトや遺伝学的解析も進めています。さらに、天然記念物アユモドキの純淡水回遊の解明などの環境保全や、環境工学といった分野と関連した研究も行っています。 | トビハゼとその塩類細胞 |
生殖などに関わる社会行動の神経・内分泌制御
我々ヒトにおいて、個体の性は性ステロイドホルモンの作用により胎児期に不可逆的に決定されます。この決定は成体では、可塑性(やわらかさ)が極めて低くなってしまい、成熟後、性転換することはありません。一方、魚類は成熟期においても環境―ホルモンにより完全な性転換を起こすとこができる唯一の脊椎動物です。これら多様な生物で比較し、性分化にみられる「やわらかさ」について、特に脳に着目して、制御分子~神経コネクトーム~アウトプットの行動までの包括的研究をしています。 | 脊髄で見つかった性差 |
動物界の進化と多様性からの生体制御機構研究の新展開
神経系が集中化する前後の動物群である刺胞動物(ヒドラ)と扁形動物(ヒラムシ)のゲノムワイドな解析を行っています。特に、神経内分泌系/環境適応に関し、上記の研究とあわせて、動物界における進化を明らかにすることを試みています。また、多様な甲殻類においても、生態、形態等にみられる適応現象と系統との関連や、生殖内分泌機構の多様性を、新しいホルモンの同定や立体構造解析も含めて、検討を行っています。 | 主な研究対象の系統樹 |
主要論文(Selected References)
Kohno K, Takanami K, Sakamoto H, Ohkawa Y, Masuda T, Tsuda M 他: A spinal microglia population involved in remitting and relapsing neuropathic pain. Science. 2022; 376(6588): 86-90.
Kobayashi A, Hamada M, Maejima S, Hay DL, Morris JF, Sakamoto T, Sakamoto H 他: Vasopressin–oxytocin-type signaling is ancient and has a conserved water homeostasis role in euryhaline marine planarians Science Adv. 2022; 8(9): eabk0331, 1-9.
Takanami K, Uta D, Matsuda KI, Kawata M, Carstens E, Sakamoto T, Sakamoto H: Estrogens influence female itch sensitivity via the spinal gastrin-releasing peptide system. Proc Natl Acad Sci U S A. 2021; 118, e2103536118, 1-8.
Oti T, Young LJ, Galione A, Morris JF, Sakamoto T, Sakamoto H 他: Curr Biol. 2021; 31:103-114.
Kohro Y, Matsuda T, Oti T, Sakamoto H, Tsuda M 他: Nature Neurosci. 2020; 23:1376-1387.
Hozumi A, Matsunobu S, Mita K, Treen N, Sugihara T, Horie T, Hamada M 他. Curr Biol. 2020;30:1555-1561.
Khalturin K, Shinzato C, Khalturina M, Hamada M, Fujie M 他. Nature Ecol Evol. 2019;3:811-822.
Luo YJ, Kanda M, Akiyama T, Sakamoto H, Sakamoto T 他. Nature Ecol Evol. 2018;2:141-151.
Sakamoto T, Yoshiki M, Sakamoto H. Sci Data. 2017;4:170189.
Takihara Y, Sakamoto H, Satoh K, Sakamoto T 他. Proc Natl Acad Sci U S A. 2015;112:10515-10520.
Hamada M, Shoguchi E, Shinzato C, Kawashima T, Miller DJ, Satoh N. Mol Biol Evol. 2013;30:167-76.
Shinzato C, Shoguchi E, Kawashima T, Hamada M, Miller DJ, Satoh N 他. Nature. 2011;476:320-3.
Sakamoto H, Zuloaga DG, Jordan CL, Breedlove SM, Kawata M 他. Nature Neurosci. 2008;11:634-6.
坂本竜哉 | 海洋動物の生体制御機構、特に魚類の環境適応機構の分子細胞生理生態学的研究。(研究業績) |
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坂本浩隆 | 行動の神経・ホルモン制御 |
秋山 貞 | 甲殻類クマ目の生態、行動に関する研究。(研究業績) |