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坂本竜哉

海洋動物の生体制御機構  - 分子・細胞・生理・生態学的アプローチ -

海洋生物、特に魚類は、進化の過程で様々な生存戦略を分化させ、極めて多様化している。河川と海洋を回遊するサケ科魚類やウナギといった広塩性魚、さらに陸上生活もできるトビハゼなどは、環境の塩濃度や水分の変化に巧みに適応し、恒常性を維持している。

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性転換を行う種も多いし、タツノオトシゴなどは雄が雌に卵を産み付けられ身ごもってしまう。

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私たちは、これらの魚類をモデルとし、遺伝子・細胞から個体・生態レベルに至るまで、生命現象を多面的に解析している。例えば、ほ乳類で乳腺刺激ホルモンのプロラクチンが、淡水への移動や適応に重要なことを、国内外との共同研究で見いだした。進化の過程で、海洋、河川、陸上といった新しい環境に適応・進出できた背景に、このプロラクチン遺伝子の機能獲得があったと思われる。しかし、その多様な機能の本質は、細胞増殖/アポトーシスの制御であることも明らかにしつつある。

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また、これらのホルモンを制御する脳内物質も検討している。

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海洋生物でも遺伝子プローブや抗体が使える今こそ、分子レベルの解析と個体レベルの生理的な解析を統合し、生物の多様な生体制御機構を検討することが、ブレークスルーになると確信しています。私は実験所最年少の教官で、flexibleです。皆さんによる新展開を期待します。