岡山大学 理学部

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色認識の制御機構を解明

2011年06月27日

岡山大学大学院自然科学研究科の中越英樹准教授 (バイオサイエンス専攻) とニューヨーク大学 Claude Desplan 教授らの研究グループは,色認識に関わるオプシンタンパク質の発現制御機構を解明しました。極めて厳密な制御を必要とするオプシン遺伝子がオン/オフを切り替えるしくみを明らかにしたものであり,生物種を越えて保存された普遍的なメカニズムとして注目されます。本研究の成果は,6月10日に米国雑誌セルに掲載されています。

ヒトの眼には,明暗を認識する桿体細胞と色を認識する錐体細胞があります。錐体細胞は,特定の範囲の波長に応答するオプシンタンパク質を発現しており,赤錐体 (長波長),緑錐体 (中波長),青錐体 (短波長) の3種類が一定の割合 (赤>緑>青) で存在しています。ショウジョウバエの眼においても,特定のオプシンタンパク質 (Rh3〜Rh6) が一定の割合で存在することで色の認識を行っています。研究グループは,遺伝子の発現を制御する Dve タンパク質の機能が失われると,通常は約3割の個眼で発現する Rh3 がすべての個眼で発現してしまうことを発見しました。オプシンタンパク質の発現を極めて厳密に制御するためには,Dve を中心とした重複的な制御ループが存在していることが明らかとなったことから,ヒトの錐体細胞においても類似の制御システムが働いている可能性が考えられます。今回明らかになった重複的な制御ループは,オプシン遺伝子だけでなく,厳密な発現制御が必要とされるさまざまな局面においても使われていることが予想され,生物種を超えて保存された新たな制御メカニズムとして注目されます。

<掲載論文>
Johnston, R.J. Jr.+, Otake, Y.+,Sood, P., Vogt, N., Behnia, R., Vasiliauskas, D., McDonald, E., Xie, B., Koenig, S., Wolf, R., Cook, T., Gebelein, B., Kussell, E., Nakagoshi, H.*, Desplan, C.*
Interlocked feedforward loops control cell-type-specific Rhodopsin expression in the Drosophila eye. Cell 145, 956-968 (2011) (+ equal contribution * corresponding authors)

<お問い合わせ>
岡山大学大学院自然科学研究科 (理)・中越英樹
(電話番号)086-251-7875
(E-mail)goshi@cc.okayama-u.ac.jp

参照リンク

http://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/soumu-pdf/press23/press-110621-3-2.pdf

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