魚類のミネラルコルチコイド系は中枢神経–行動制御に不可欠 副腎皮質ホルモン系の中枢機能の解明に道
2016年11月29日
岡山大学理学部附属臨海実験所の坂本竜哉所長・教授、坂本浩隆准教授の研究グループは、副腎皮質ホルモンのミネラルコルチコイド受容体(MR)遺伝子欠損(KO)メダカを作出し、解析した結果、メダカではMR系が四足動物で一般的な体液調節には関係なく、視運動に不可欠であることを発見。魚類MR系の機能は、中枢神経–行動制御において重要であることを明らかにしました。本研究成果は11月29日(英国時間午前10時)、英国の科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されます。
哺乳類では、ミネラルコルチコイドは血圧や体液成分の調節ホルモンとして最もよく知られています。しかし、哺乳類のMR遺伝子を欠損してしまうと致死となるため、KOマウスなどでの検討が困難で、これまでMR系の普遍的な中枢機能は分かっていませんでした。
今回、MRKOメダカを作出して発見した研究成果は、脊椎動物全般を通じてみられる本来のMR系の機能・原点の可能性もあり、今後、副腎皮質ホルモン系の中枢機能の進化・解明への突破口にもなり得ると期待されます。
哺乳類では、ミネラルコルチコイドは血圧や体液成分の調節ホルモンとして最もよく知られています。しかし、哺乳類のMR遺伝子を欠損してしまうと致死となるため、KOマウスなどでの検討が困難で、これまでMR系の普遍的な中枢機能は分かっていませんでした。
今回、MRKOメダカを作出して発見した研究成果は、脊椎動物全般を通じてみられる本来のMR系の機能・原点の可能性もあり、今後、副腎皮質ホルモン系の中枢機能の進化・解明への突破口にもなり得ると期待されます。
図1 哺乳類のMR系は水・電解質代謝、GR系は糖代謝にそれぞれ重要なはたらきをします。魚類のMR系が哺乳類では普遍的な体液調節にはあまり関係なく中枢神経–行動制御に不可欠であることを明らかにしました。
図2 メダカとオブジェクトの軌跡をプロットし、オブジェクトとの距離とメダカの運動量を定量。MRKOメダカは動くオブジェクトを認識しているものの追従できず、視運動反応が著しく低下していることがわかりました。
<詳しい研究内容について>
魚類のミネラルコルチコイド系は中枢神経–行動制御に不可欠 副腎皮質ホルモン系の中枢機能の解明に道
【論文情報等】
論文名:Principal function of mineralocorticoid signaling suggested by constitutive knockout of the mineralocorticoid receptor in medaka fish
「ミネラルコルチコイド系の普遍的作用 −受容体ノックアウトから解明する中枢機能」掲載誌:Scientific Reports著 者:Tatsuya Sakamoto, Madoka Yoshiki, Hideya Takahashi, Masayuki Yoshida, Yukiko Ogino, Toshitaka Ikeuchi, Tomoya Nakamachi, Norifumi Konno, Kouhei Matsuda, Hirotaka Sakamoto DOI:10.1038/srep37991
発表論文はこちらからご確認いただけます。
http://www.nature.com/articles/srep37991
<お問い合わせ>
岡山大学大学院自然科学研究科(理)
理学部附属臨海実験所
所長・教授 坂本 竜哉
准教授 坂本 浩隆
(電話番号)0869-34-5210