本学高等先鋭研究院を構成する組織のひとつである異分野基礎科学研究所の菅倫寛教授が、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「2023年度創発的研究支援事業」に採択されました。本採択情報は、6月25日にJSTホームページで公開されました。
同事業は、特定の課題や短期目標を設定せず、多様性と融合によって破壊的イノベーションにつながるシーズの創出を目指す「創発的研究」を推進するため、既存の枠組みにとらわれない自由で挑戦的・融合的な多様な研究を、研究者が研究に専念できる環境を確保しつつ長期的に実施する事業です。また、創発を促進するため、実施期間中は、異分野を含む多様な研究者同士が相互に触発し、切磋琢磨する「創発の場」を設けることで、破壊的イノベーションにつながるシーズの創出を目指す事業でもあります。
菅教授はこれまでにJSTの「平成30年度戦略的創造研究推進事業(さきがけ)」の新規課題として「量子ビームが拓く光合成膜タンパク質のマルチモーダル構造解析」をテーマに、2018年10月~2022年3月の3年半にわたって研究を行い、2019年にはScience誌に、2024年にはNature誌に研究成果を発表してきました。本創発的研究事業ではこれらの研究を飛躍的に発展させ、「光合成ベシクルを用いた光エネルギー変換の統合的理解」をテーマに、2024年10月から原則7年間のうち、まずはフェーズ1(3年間)を実施することになります。
今回の採択を受けて、菅教授は「私のように独立したばかりの若手の研究室主宰者にとっては研究予算の獲得は死活問題です。最大10年間の長期的研究費の支援がある本事業に採択されたことで研究に腰を据えて取り組めるので大変ありがたいです。採択にあたり、創発POから『創発の7年間というサポート期間はビートルズの活動期間と同じです。つまり、7年あれば常識を打ち破る、歴史に残る仕事ができます』との激励の言葉をいただきました。この採択を励みにして『A Hard Day’s Night』のようにあくせく働き、新しい研究にも果敢に挑戦したいです」とコメントしました。
本学には現在11人の創発的研究支援事業採択研究者が在籍しています。今回の菅教授の採択で12人となり、今後も転入などで増加する予定です。創発的研究支援事業など、若手研究者支援の事業は、わが国の研究力向上とイノベーション創出強化等において重要な取り組みであり、本学でも「岡山大学若手研究者支援パッケージ」を策定し、独自の支援を戦略的に実施しています。さらに研究ポリシーにおいても「高い研究能力を有して研究活動に従事する者に対しては、研究活動時間や活動費等のインセンティブを与える点」などを明記しています。国立大学法人の財政的悪化等が激しい中、十分な若手研究者支援策を実施できているとは言えない点もありますが、研究大学として菅教授ら若手研究者、そしてミドル・シニアの秀逸な研究者を「個人」ではなく「群」「層」として支援し、岡山大学長期ビジョン2050の実現、社会変革を成す研究・イノベーションの強化促進を進めていきます。引き続き、菅教授ら研究者と地域中核・特色ある研究大学:岡山大学の取り組みにご期待ください。
【本件問い合わせ先】
<研究内容に関する件について>
異分野基礎科学研究所(理学部生物学科兼担)教授 菅 倫寛
TEL:086-251-7877
菅 倫寛研究室HP
<本学の創発的研究支援に関する件について>
岡山大学創発的研究タスクフォース(研究・イノベーション共創管理統括部 研究協力課)
担当:松島・松本・辻・福原
TEL:086-251-8487・8486
菅倫寛教授(異分野基礎科学研究所)がJST「2023年度創発的研究支援事業」に採択
2024年07月05日