担当者 | 野沢 徹 教授 (地球科学科) |
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日時・期間 | 平成25年11月6日(水)16:15 〜 17:45 |
場所 | 理学部本館24講義室 |
本年9月末に公開された最新のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)報告書を題材として,地球温暖化の現状と将来予測について科学的に議論・考察する。
【地球温暖化の現状と将来予測】
はじめにIPCCの役割や構造,これまでの報告書の内容などについて簡単に説明した上で,2013年9月末に公開されたIPCC第1作業部会(自然科学的根拠が中心)の第5次評価報告書の主要な結論について1時間ほど解説した。過去100年強の間に観測された気候システムの温暖化については疑う余地がなく,人間活動が(少なくとも)20世紀半ば以降に観測された温暖化の主な要因であった可能性が極めて高いこと,世界平均地上気温の上昇に伴って将来的にほとんどの陸上で極端な高温の頻度が増加することはほぼ確実であり,中緯度の大陸上と湿潤な熱帯域においては今世紀末までに極端な降水がより強く頻繁となる可能性が非常に高いこと,などを説明した。後半では,解説中に感じた素朴な疑問点について簡単なディスカッションを行った。具体的には,「過去100年程度の間における温暖化のパターン(地理分布)が一様でないのはなぜか」,「北極の海氷は温暖化にともなって面積が減少しているにも関わらず,南極の海氷面積はどちらかといえば増加しているのはなぜか」などについて,それぞれの意見を出し合いつつ,科学的な考察も加えながら議論した。